牛流行熱ウイルスの糖蛋白G遺伝子の解析と油性アジュバントワクチンの開発(ウイルス学)

概要

論文の詳細を見る
牛流行熱ウイルス表面のG糖蛋白は中和および感染防御に関わる主要な抗原である.1984年から2004年にかけて台湾で分離した牛流行熱ウイルスのG糖蛋白のアミノ酸配列を比較した結果,中和に関与するエピトープ部分に変異が認められた.現在不活化ワクチンに使用されているTn73株と比較すると,すべての分離株でこの中和に関与するエピトープ部分のアミノ酸配列に変異が認められ,その変異は共通した箇所で起きていた.なかでも1999年に分離されたTn88128株の変異が最も大きく,12アミノ酸が変異しており,そのうち5アミノ酸が中和に関与するエピトープ内であった.Tn88128株と市販されているワクチンのTn73株の混合ワクチンを作製し,その安全性をマウス,モルモット,子牛,妊娠牛を使用して確かめた.どの動物にも臨床上異常は認められなかった.市販ワクチンおよび混合ワクチンを,アルミニウムゲル,油性アジュバント,PBS溶解の状態にして子牛に接種したところ,PBS溶解ワクチンを除き感染防御免疫が形成された.その中でも油性アジュバンド混合ワクチンが最も高い中和抗体を形成し,長期間持続した.
社団法人日本獣医学会の論文
2006-06-25