本邦産コシダカヒメモノアラガイの解剖学的研究(欧洲産型との比較)及びその生態
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概要
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1) 近年わが国に移入されたコシダカモノアラガイについて解剖学的研究を行いその精細を明かにした.本種は殼によってLymnaea truncatula (Muller)と同定されていたが軟体部の解剖の結果でも本種と同定される.2) 本属は殼の類似するものが多く軟体部の特徴が分類に重要であるが, 今までの歯舌及び生殖器の外に唾腺, 盲嚢(腸管), 両性腺, 足神経節, 平衡器, 雄性交接器に付着する筋肉等の形態的特徴も亦重要である.3) 足神経系を除く神経系及び循環系には種的差異は余り見られない.足神経については従来余り記載されていないがその発達程度には可成りの差があり, これは棲息状況に関係あると思われる.4) 卵塊及び卵はL. ollulaヒメモノアラガイ, L. japonicaモノアラガイのものより小さく卵は平均0.60×0.58mmである.5) 本種は普通水中に棲息することは少く, 多く水辺の泥上を匍っているのが見られる.活動は余り活溌ではない.
- 日本貝類学会の論文
- 1956-07-20