成牛用脳手術台の作製と長時間イソフルラン麻酔下での成牛の頭蓋内圧及び血圧の変動(外科学)

概要

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我々は成牛を胸骨座位保定するための脳手術台を作製し,長時間吸入麻酔による成牛の頭蓋内圧(ICP),血圧,血液ガスへの影響について検討した.作製した脳手術台を用いて成牛へのイソフルラン麻酔を実施したところ,麻酔の導入・維持,成牛への胸骨座位保定,麻酔からの回復処置等の一連の作業を安全に実施できた.さらに健康なホルスタイン種雌成牛6頭を,脳手術台を用いた胸骨座位保定で8時間イソフルラン麻酔を実施する群と横臥位保走で3時間イソフルラン麻酔を実施する群に分けて,脳循環器系への影響について比較検討した.胸骨座位保走群(SR)は横臥位保定群(RR)に比べて,麻酔中のICPが有意に低く推移した.また,SRのPaO_2はRRに比べて有意に高く推移した.SRは麻酔後8時間まで鼓脹症や第一胃液の吐出は認められず,麻酔からの回復もスムーズであった.一方RRは麻酔後3時間目に鼓脹症と第一胃液の吐出が生じ,麻酔の継続が出来なかった.以上のように成牛用脳手術台を用いることで脳および心循環器系への負担が軽減されることから,本研究で開発された脳手術台は,成牛への長時間麻酔と脳外科手術に有用であることが示唆された.
2006-04-25