オネガ地方のブィリーナにおけるславу поютの用法
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概要
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「славу поют」という表現は、ブィリーナにおいては、語義どおりの「栄誉を歌う」という意味や、比喩的な「死が訪れる」という意味で使われるほか、両方の意味を含んでいると考えられる場合、意味が定めがたい場合などがある。本稿においては、「ブィリーナにおけるславу поютの用法」に引き続き、以下のブィリーナ集における「славу поют」の用法を分析した。(1)ギリフェルヂング収集 オネガ地方のブィリーナ(2)ソコロフ収集 オネガ地方のブィリーナ(3)プードガ地方のブィリーナ(4)キルシャ・ダニ一ロフのロシア古謡集(5)ペチョーラ地方のブィリーナ(ロシアブィリーナ集成1-2巻)の5種である。このうちの(1)〜(3)に収録されているブィリーナがオネガ地方で記録されたものである。分析の結果は以下のとおりである。1.「славу поют」という表現が語義どおりの「栄誉を歌う」という意味で使われている例は、ここでとりあげたすべてのブィリーナ集に見出される2.(1)、(2)、(3)のブィリーナ集、すなわち、1860年代から1930年代にかけてオネガ地方で記録されたブィリーナにおいては、(4)、(5)に比べて、「славу поют」という表現の使われる頻度が著しく高い3.「славу поют」という表現が頻出する(1)、(2)、(3)のブィリーナ集では、「死が訪れる」という比喩的な意味で使われる場合や、意味が定めがたい場合が多く見出されるのに対し、使用頻度の低い(4)、(5)では、ほぼすべての例が、「栄誉を歌う」という語義どおりの意味に限られる4.オネガ地方の3つの収集の間では、「славу поют」という表現の使用額度には大きな差がない。しかし、比喩的な意味で使われる割合は、時代と共に変動している。もっとも古い(1)でもっとも低く、(2)から(3)へと徐々に高くなっているのが観察される。
- 日本スラヴ・東欧学会の論文
- 2006-03-31
著者
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