首都圏南西部における地質構造発達過程への仮想基盤変位法の適用(<特集>関東構造盆地の地質)
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概要
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首都圏南西部は,地層のほとんどが地下に埋没しているが,本州弧の隆起様式とそれにともなう古歪履歴,第四紀変動,山地と平野の地形形成などの解析には必要不可欠な地域である.まず,近年の地下地質資料を加えた検討によれば,この地域の火砕岩鍵層は,5〜3Maごろの酸性凝灰岩層であり,丹沢地域の中津峡から東へ傾き,府中の地下約1800mへ連続する.この鍵層は,南北方向の軸をもつ幅3kmほどの緩い東相模背斜,および,その北側にある多摩川背斜などの両側に分布する.これを基準にすると,これらの背斜は片翼づつ形成されていて,地塊の差動が主因である.また,その形成はともに16.5Maごろに発生したが,前者の成長は現在まで続いているのに対して,後者のそれは2Maごろに終わった.10Maごろに顕著になった広域隆起は,背斜軸の西側における地層の堆積中心の移動や撓曲形成などの原因となり,三浦層群やその相当層を変形・変位させた.この変動は,前期鮮新世あたりを境にして軸の東側へ遷移し,上総層群の最大層厚部の移動をはじめとする地層・構造形成が行われた.こうした変動が,地塊運動をベースにした基盤の断層の再活動で支配されていることは,VBD法による歪み解析で確認された.
- 2006-01-25
著者
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小玉 喜三郎
産業技術総合研究所(地質調査総合センター)深部地球環境研究センター
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小玉 喜三郎
産業技術総合研究所
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豊島 康弘
さいたま市北部建設事務所
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鹿児島 康一
国土交通省四国地方整備局
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角田 史雄
埼玉大学工学部
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