中国をめぐる日米間の見えざる戦い : 1943年治外法権撤廃に関する一側面
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概要
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本稿では、第二次世界大戦における米国と日本の対中政策の転換に着目し、特に1942年から1943年にかけて不平等条約の撤廃問題をめぐる国際関係の変化を分析することを狙いとしている。不平等条約撤廃過程中の諸列強の撤廃動機を分析することによって、中国の治外法権問題を取り巻く重層的国際関係の網の目を解明し、アジア・太平洋戦争期の国際関係を総合的に理解する一助となることを目指している。第二次世界大戦期における東アジア国際関係の重要性にもかかわらず、中国での不平等条約の撤廃問題を取り上げたものは極めて少ない。しかし、中国をめぐる不平等条約の撤廃問題は、第二次世界大戦期における米国の対アジア政策の転換、さらに東アジア国際関係を解明する上で、重要、かつ根本的な鍵の一つを与えてくれるものと考えられる。ここでは、中国における各列強間の権益という主題に焦点をあて、治外法権の撤廃問題を歴史的に追求することによって、アジア・太平洋戦争期における東アジア国際政治の一断面を浮きぼりにしてみたい。
- 1998-03-31