日米経済関係の動向 : 1955年-1986年
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概要
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第二次大戦後, 30年(1955-1986)の間に, 米国と日本の世界市場における経済的立場は大きく変化した。日本は自国の経済的豊かさと国内政治の安定を目指し, 外部の与件を可能なかぎり有効に利用して, 制約条件(外交的, 経済的制限)をそのつど克服し, ひたすら経済的地位の上昇(GNPの拡大)に邁進してきた。米国の行動原則は日本とはまったく異なり, 東西対立の世界情勢の中で, Pax Americana というグローバルな課題と歴史的使命の達成を優先させた。防衛と対外援助, 市場開放と対外投資は, 一方では米国に国内利益と国際秩序の安定をもたらしたが, 他方では生産性の上昇と国内産業調整において西欧諸国とりわけ日本に遅れをとり, その結果国際競争力の低下にともなって, 世界経済の中で米国経済の相対的地盤沈下が徐々に進んだ。過去30年におよぶ日米経済関係の歴史は, 日本の「小国意識」下の自国経済第一主義と米国の「大国意識」下の世界政治優先主義の二つの原則が交錯する中で, 共存と発展を示すと同時に厳しい摩擦と対立をも明白にしている。
- 上智大学の論文
- 1989-03-20