近世後期上方におけるンの一用法
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概要
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本稿では近世後期上方語に見える「オ+連用形+ンカ」形(ex.お行きんか)とそのバリエーション群の出現過程を洒落本等の調査や諸説の検討を通じて明らかにする。まず「オ+連用形+ンカ」形の出現過程については,接頭辞オを冠するという形態的特徴から,宝暦頃に出現した一段動詞「おくれる(お呉れる)」の未然形接続形式「おくれんか」との関わりを考える。次に「オ+連用形+ンカ」形から「連用形+ンカ」形(行きんか)が派生する過程については連用形命令法の影響があったと考える。それ以降様々なやわらかい命令関連表現とンカが接合する事が可能になり,文政頃には遊客を中心に「連用形+テ」(行って。)という命令表現にンカを接続させた「連用形+テンカ」形(行ってんか)が出現したと考える。
- 2004-10-01