在宅ケア10年の歩みから
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概要
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がんによる年間死亡者数は約30万人に上り,80%以上はその最期を病院で迎えている。家族が付き添うにしても,愛する人のケアはプロフェッショナルな医療者に委ねられており,人がどうやって亡くなっていくのか身近にそのプロセスを体験することも減っている。核家族が増え,重病人を家で看取ることは現実的に難しいこともこの現象に拍車をかけている。葬式のやり方も劇的に変化した。業者の用意したマニュアルに従い,きらびやかなホールで執り行われることが多くなり,もはや隣人の助けは無用になった。コミュニティの崩壊は「死の文化」の変化とともに私たちの周りで加速度的に生じている。私は"がん"という難しい病気であっても,最期の日々を家で過ごしたいと願う方々のケアを引き受けてきた。そして気付かされたことがある。それは現代社会では,私達医療チームが患者さんの人生にとって,最後の友人になるという現実だった。だから患者さんの最期を支えてきた私たちが,患者さんの死後,家族の死別の悲しみを和らげるひとつの役割も担っていることを自覚した。私たちが,患者さんと家族のために,一番小さな"コミュニティ"になるのだということを。進行がんの患者さんにとって,家にいるということを選ぶのは大きな勇気がいる。でも,少なくともそれは本人の決心である。そしてその決心に力を与えるものは何なのか,事例を通じて伝える。
- 2006-06-17
著者
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