ユーロシステムの金融危機・安定問題
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概要
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12ヶ国で-国形体の「欧州国民経済」で、ユーロシステムは連邦 (的) 型中央銀行制度の形式をとっているが、具体的な欧州統一国家がないなかで金融システムの安定問題はさまざまな制度的特徴を呈する。ユーロシステムにおいて、連邦・中央集権的内容はECBの設立と単一金融政策、ユーロの法貨規定に表れている。他方、分権的内容は、財政政策を含め銀行監督・金融安定の分野、ユーロ銀行券の管理・供給、TARGETの運用に表れ、各国の所管当局・NCBに法的権限・責任が与えられる。このようなシステム的特徴において、NCBは欧州機関の構成部分であると同時に各国機関 (一国家機関) でもある二元的・複合的性格の機関であり、同じ分権的内容において銀行監督者としては各国体に責任を有する「補完原理」に、金融政策オぺやユーロの管理・供給者としてはユーロシステムの連邦権限を周辺 (NCBs) を通じて行う「分権原理」におかれる。問題は、ユーロシステムの連邦・中央集権的内容と分権的内容すなわち「補完」と「分権」との関連である。そのなかでも連邦・中央集権的内容と「分権」との関係するもの同士の関連を問うことは、中央銀行の最後の貸手機能 (LOLR) と金融安定の問題に関わって重要である。欧州金融市場が統合・グローバル化するなかで、金融機関の活動もクロスボーダーで拡大展開する。リスクの発現、金融危機の可能性は現実性をおび、中央銀行 (ECB) に金融危機と金融安定問題の検討を迫るのも必定である。
- 2004-10-31
著者
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