歯周炎患者の歯肉溝滲出液における多形核白血球の貪食能に関する研究
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概要
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成人性歯周炎患者の歯肉溝滲出液(Gingival crevicular fluid:以下GCF)における多形核白血球(Polymorphonuclear leukocytes:以下PMNs)の貪食能および貪食能に関わる表面レセプターであるFcγR III, CR 3の発現量について,健常者との比較検討を行った。成人性歯周炎患者および健常者,各10名の協力を得,同一被験者より末梢血中多形核白血球,歯肉溝滲出液中多形核白血球(以下それぞれPB-PMNs, GC-PMNs)を採取し,その後,貪食能(貪食率および貪食度),レセプター発現量について検索を行った。また,GCFがPMNsの機能に影響を与えていることが考えられることから,各被験者GCF上清にてPB-PMNsをインキュベートして,同様に検索を行った(HBSS-CMFでインキュベートしたものをコントロール群とした)。その結果,患者群,健常者群ともにPB-PMNsよりもGC-PMNsにおいて貪食率および貪食度の低下がみられ,FcγR IIIの発現量の減少,CR 3の発現量の増加が認められた。患者群のGC-PMNsでは,健常者群に比較して貪食度の有意な低下がみられ,FcγR IIIの発現量は減少傾向を示した。GCF上清で刺激したPB-PMNsは,コントロール群に比較して,貪食能およびFcγR IIIの発現量に有意差を認めなかったが,CR 3の発現量の有意な増加が認められた。以上の結果から,成人性歯周炎患者のGC-PMNsでは,健常者に比較して異物の取り込み能力の一部が低下していることが考えられるが,その原因としてGCFが関与している可能性は少ないことが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1998-06-28
著者
-
鴨井 久一
日本歯科大学歯学部歯周病学教室
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清信 浩一
日本歯科大学歯学部歯周病学教室
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大崎 忠夫
日本歯科大学歯学部歯周病学教室
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鴨井 久一
日本歯科大学歯学部歯周病学講座
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鴨井 久一
日本歯科大・歯周病
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清信 浩一
日本歯科大学 歯周病学 講座
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