ヒト歯根膜由来細胞ならびにヒト歯槽骨由来細胞の細胞特性の比較研究
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概要
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ヒト歯根膜由来細胞の持つ骨原性細胞としての特性を明らかにするために,ヒトの同一部位から採取した正常な歯根膜由来細胞と歯槽骨由来細胞を同条件下で培養し,両者の細胞特性を比較検討した。鹿児島大学歯学部附属病院に来院した患者5名(21歳から33歳までの男性,平均年齢28.2歳)について片側の下顎第3大臼歯を抜歯し,同歯の歯根膜および抜歯窩の根間中隔から歯槽骨を採取して細胞を分離培養した。得られたヒト歯根膜由来細胞ならびにヒト歯槽骨由来細胞の石灰化物形成能,アルカリフォスファターゼ活性,オステオカルシン産生量を経日的に比較した。結果は以下のとおりであった。1)ヒト歯根膜由来細胞では,歯槽骨由来細胞と同様にβ-グリセロリン酸とデキサメサゾンの添加によって石灰化物の形成が認められた。2)ヒト歯根膜由来細胞は高いアルカリフォスファターゼ活性を有し,これはヒト歯槽骨由来細胞と同様に活性化型ビタミンD_3の添加,あるいはβ-グリセロリン酸とデキサメサゾンの添加により亢進された。ただし,経日的な活性の変化はヒト歯槽骨由来細胞とは異なっていた。3)ヒト歯根膜由来細胞では,活性化型ビタミンD3の添加によってオステオカルシン産生が認められた。ただし,その産生量はヒト歯槽骨由来細胞と比べて少なかった。これらのことから,ヒト歯根膜由来細胞は骨原性細胞としての特性を有することが明かとなり,歯根膜細胞は歯根膜のみでなく硬組織の再生に関与する可能性が示された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1998-03-28
著者
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