塩素濃度の異なる2種類の酸化水の殺菌効果

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水にNaClを添加し,これを電解して得られる強酸化水(hard oxidized water: HOW)は遊離有効塩素濃度10〜50ppmであり,短時間で強い殺菌力を発揮することから,現在,齲蝕や歯周疾患患者に対する化学的プラークコントロール剤としての使用が検討されている。しかし,pHが2.0〜3.0であることによる為害作用が懸念されている。そのようなことから,水にNaClとHClを添加し,これを電解して得られるpH5.0〜5.5,遊離有効塩素濃度50〜80ppmになるソフト酸化水(soft oxidized water: SOW)が注目されるようになってきた。しかし,歯科領域での利用についての基礎的研究が少ないことから,まず第一段階として,口腔微生物および一般細菌に対する殺菌効果を検討した。供試菌株は,Bacillus subtilisを含む12菌種12株である。判定は,液体培地で培養後,遠沈,洗浄,集菌し,これに対してSOWおよびHOWを10秒,30秒,1分,10分間反応させ,その後,反応停止剤としてチオ硫酸ナトリウムを添加,これを平板培地に塗沫し,37℃,48時間,好気培養し,コロニーの有無を確認することにより行った。その結果, B. subtilisではソフト酸化水を10分間反応させた場合にのみ殺菌作用を示したが,その他の供試菌株では,SOW,HOWともに全ての反応時間において殺菌作用を示した。よって,SOWは芽胞形成菌に対しても殺菌作用を示し,HOWよりも強力な殺菌効果があることを認めた。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1996-09-28

塩素濃度の異なる2種類の酸化水の殺菌効果

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