実験的歯周外科処置がおよぼす歯肉組織中のアラキドン酸代謝物の推移について

概要

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本実験は歯周外科手術後のアラキドン酸代謝物の産生および血管透過性の推移について検索した。実験動物にはウィスター系ラットを用い,実験的歯肉剥離掻爬術を行い,術後0, 6, 12, 18, 24, 36, 48, 72, 120, 168, 240時間に経時的に屠殺を行った。アラキドン酸代謝物として,PGE_2, 6-ケトPGF_<1α>, LTB_4, LTC_4をRIA法にて定量した。血管透過性は,Pontamine Sky Blueを灌流し,歯肉中に滲出した色素量により算出した。その結果,PGE_2は,術後経時的に上昇し,術後36時間にピークが観察された。6-ケトPGF_<1α>は,術後6, 48時間に,LTB_4は術直後に,LTC_4は術後24時間にそれぞれピークが観察された。以上のことより術後の歯肉組織中におけるアラキドン酸代謝物は,術後の反応性の起炎物質として作用し,血管の透過性を亢進させ,歯肉の炎症に関与し,術後の治癒過程に深く関与していることが示唆された。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1993-09-28