成人性歯周炎の歯周ポケット内プラーク細菌と多形核白血球の相互関係に関する超微形態学的研究
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概要
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本研究の目的は,成人性歯周炎における歯齦縁下プラークが歯周ポケット内の多形核白血球層に及ぼす影響を検索することにある。6人の成人性歯周炎患者から6生検を得た。生検前に,外科用接着剤にて歯と歯齦を固定した。歯と歯齦は一塊にして抜去,超微形態学的に検索した。多形核白血球(以下PMN)層付近には球菌,桿菌,紡錐状の菌が存在した。細胞膜,ペリプラスミックスペース,ペプチドグリカン層,外膜からグラム陰性と思われる細菌が多く観察された。少数のスピロヘータも観察された。この部では多数のvesicle様構造物,線維状構造, test-tube brush様細菌凝集も認められた。PMNはプラークとポケット上皮間に層を成した。プラークがPMNに接している部位ではグラム陰性菌をPMNは貪食し,PMN内のライソゾーム顆粒は,細菌を貪食したファゴソーム内や細胞外へ脱顆粒を生じた。拡大したポケット上皮細胞間隙内のPMNはライソゾーム顆粒を多数含有した。上皮細胞間隙内に細菌侵入は認められなかった。本研究からPMNは生体防禦として,一方では組織破壊に関与することを裏付ける結果が示された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1992-09-28
著者
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