ラットのフラップ手術後における歯肉上皮の細胞動態に関する研究

概要

論文の詳細を見る
本研究の目的は,ラットの歯周組織における創傷治癒過程において,上皮構築後の基底細胞の動態を組織化学的に検索することにあった。実験群として,フラップ手術後144時間,192時間,312時間のラット歯肉上皮を,そしてフラップ手術を施さなかった歯肉上皮を対照群とした。実験方法として,歯肉上皮における細胞動態を^3H-thymidineを用いたPercent-labeled-mitoses(PLM)法による細胞周期解析法にて検索し,以下の結果を得た。(1)接合上皮における細胞周期時間は,対照群,フラップ手術後144時間,192時間,312時間の群において,それぞれ27.50時間,15.25時間,22.50時間,27.00時間であった。口腔歯肉溝上皮では,対照群,フラップ手術後144時間,192時間,312時間の群において,それぞれ32.25時間,19.00時間,20.75時間,34.38時間であった。口腔上皮では,対照群,フラップ手術後144時間,192時間,312時間の群において,それぞれ48.75時間,27.38時間,40.50時間,49.00時間であった。(2)初期標識率(L.I.)は,接合式皮,口腔歯肉溝上皮,そして口腔上皮において,対照群と比較して,近似した値となった。そして,各観察時期において,対照群の値との間に,統計学的に有意の差は認められなかった。(3)分裂指数(M.I.)は,接合上皮,口腔歯肉溝上皮,そして口腔上皮において,対照群と比較して減少傾向を示した。そして,接合上皮では,術後144時間,口腔上皮では,術後312時間おいて対照群の値との値に,統計学的に有意の差を認めた。しかし,口腔歯肉溝上皮においては,観察期間を通して,統計学的に有意の差は認められなかった。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1991-09-28

ラットのフラップ手術後における歯肉上皮の細胞動態に関する研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク