実験的歯周炎組織におけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの免疫組織化学的局在性
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概要
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イヌの実験的歯周炎(結紮0日,3日,7日,21日,60日)組織中のコンドロイチン硫酸異性体(コンドロイチン4硫酸,コンドロイチン6硫酸,デルマタン硫酸)プロテオグリカン(PG)の局在性の変化をモノクローナル抗体(2-B-6,3-B-3)を用い免疫組織化学的に検討した。その結果,結紮0日目では,歯肉結合組織および歯根膜にコンドロイチン4硫酸PGとデルマタン硫酸PGが組織中に広く認められ,特にデルマタン硫酸PGは組織中のコラーゲン線維に沿って強い染色性を示した。コンドロイチン6硫酸PGは口腔上皮と上皮下結合組織の境界部,結合組織性付着部の一部及び歯肉や歯根膜の血管周囲に限局していた。歯槽骨ではコンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PGおよびデルマタン硫酸PGがハーバース管,フォルクマン管,骨小腔の内縁のみに認められた。急性期(結紮3,7日目)において,小範囲であるが組織破壊が生じた歯肉結合組織でコンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PG及びデルマタン硫酸PGの染色性が減弱していた。また,活発な骨吸収窩の破骨細胞様の細胞周囲や吸収窩周囲の疎な結合組織にコンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PG及びデルマタン硫酸PGの陽性所見が認められた。慢性期(結紮21,60日目)では組織破壊がさらに進行し,コンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PG及びデルマタン硫酸PGの歯肉結合組織での染色性が広範囲にわたり減弱した。骨吸収は進行していたが,コンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PG及びデルマタン硫酸PGの吸収窩の染色性は急性期と比較して減弱していた。以上の結果から,歯肉結合組織ではコンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PG及びデルマタン硫酸PGが炎症による組織破壊に伴い消失することが示された。またコンドロイチン4硫酸PG,コンドロイチン6硫酸PGおよびデルマタン硫酸PGが初期の骨吸収時に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
- 1991-03-28
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