好中球細胞膜糖蛋白(LFA-1ファミリー)が関与する歯周病の病態研究
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概要
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宿主防御細胞の機能は歯周病の病態を説明し得る要因である。本研究では,歯周病の病態と好中球機能との関係を調べ,そして,好中球細胞膜糖蛋白LFA-1ファミリーβ鎖分子の細胞膜上出現機構を解析した。好中球機能は,被験者95名の走化能,貪食能および殺菌能について調べた。その結果,いずれの好中球機能においても健常者ならびに各種病型の歯周病患者の間に有意な相関は見出し得なかった。しかし,早期発症型歯周炎患者には走化能の劣る者が多かった。被験者28名について,好中球細胞膜糖蛋白のLFA-1ファミリーβ鎖分子の細胞膜上への出現量をβ鎖分子に対するモノクロナール抗体を用いるウェスタンブロッティング法とフローサイトメトリーによって検討した。細胞膜上のLFA-1ファミリーβ鎖量は,いずれの被験者においても変わることはなかった。しかし,2名の歯周病患者に,N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine (fMLP)で好中球を刺激しても,LFA-1ファミリーβ鎖が細胞表面へ充分量出現しないことを示唆する結果を得た。以上のことは,LFA-1ファミリーβ鎖をマーカーとして病態を捉え得る歯周病のサブグループのあることを示唆している。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1990-06-28
著者
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