進行した歯周病患者における歯肉溝滲出液中の高濃度のカルボン酸に関する研究
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概要
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カルボン酸はプラーク中の細菌によって産生されることが知られている。本研究は,歯周病患者の病態と全唾液および歯肉溝滲出液(GCF)中のカルボン酸の間に関連性があるかどうか,また,カルボン酸の一種であるギ酸および酪酸がヒトの培養歯肉線維芽細胞(HGF)にどのように影響をおよぼすかのを検索した。本実験の結果,GCF中の酢酸,プロピオン酸,コハク酸,および酪酸は,歯肉炎あるいは軽度の成人性歯周炎患者(プロービングデプス≦4mm,骨吸収度≦33%)よりも中等度ないし重度の成人性歯周炎患者(プロービングデプス>4mm,骨吸収度>33%)において有意に高濃度で検出された。また,酪酸は中等度ないし重度の成人性歯周炎患者のGCF中で検出された3mMの濃度でHGFの増殖を完全に抑制した。本実験の結果は,GCF中のカルボン酸が歯周病の発生および進行に何らかの役割を果たしていること,また,カルボン酸が歯周病の診断の一つの指標となりうる可能性のあることなどを示唆したものと考えられる。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1988-12-28
著者
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