歯根嚢胞におけるコラーゲン線維の形態病理学的研究 : FLS型微線維の形成部位と形成機序
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
歯根嚢胞の形成に当り,内在性コラゲナーゼによるコラーゲン線維分解を基盤として顎骨組織が吸収され,fibrous long-spacing (以下FLSと省略)コラーゲンの出現を伴う事が報告された。著者は,歯根嚢胞摘出組織を電子顕微鏡的に精査し,浮腫状肉芽組織の軽度拡張性小静脈周囲に於て,type III, I, IVおよびVコラーゲンの関与下にRandall第III型のFLS型微線維の選択的形成を認めた。また,モルモットの酸可溶性コラーゲン或いは頸動脈および周囲組織を試料とし,歯根嚢胞肉芽組織抽出液,細菌性コラゲナーゼ或いはコンドロイチン硫酸塩の添加による異常コラーゲン形成実験と共に,既報告のFLSコラーゲン出現例について出現部位組織構造の比較検討を行なった。歯根嚢胞肉芽組織のFLS型微線維形成は,コラーゲン線維の破壊・新生が不規則に継起する亜急性炎症過程を契機として生起・進行すると考えられる。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1988-09-28