同系ラットモノクローナル抗体による種族間共通グリオーマ関連抗原の解析
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概要
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ラットグリオーマ細胞株9L/R_3を遺伝的背景の等しいFischerラットに免疫することにより,ラット及びヒトグリオーマに特異的に反応するモノクローナル抗体FR77を作製し,これを用い種属間共通グリオーマ関連抗原の局在及び生化学的特性につき解析を行なった。免疫ぺルオキシダーゼ法による培養細胞の検討では,FR77抗体はラットグリオーマ細胞及びヒトグリオーマ細胞と強く反応し,線維芽細胞や他の腫瘍細胞とは反応しなかった。凍結切片を用いた免疫組織化学的検討では多形性謬芽腫,悪性星状細胞腫等悪性度の高い脳腫瘍及び頭蓋咽頭腫と反応した。他の臓器においては膀胱癌,結腸癌にも認識抗原は認められたが,正常組織とは食道上皮基底細胞を除いてほとんど反応しなかった。FR77認識抗原は中性糖脂質糖鎖部に存在し,ほとんどは細胞質内に局在した。細胞表面上には,末端糖鎖にシアル酸が付加した状態で多く存在し,その摸上への発現は細胞周期と密接に関係していることが見出された。
- 神戸大学の論文