中国語教育における否定辞の教え方について : "不〜"と"没〜"の文法的使い分けと意味分析を中心に(授業研究・教材開発)
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概要
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動詞や形容詞を否定する"不"と"没"の使い分けに関する論文は少なくない。しかし、助動詞の前の"不"と"没"の使い分けと、その意味的分析に関する先行研究は、まだ少ないようである。多くの文法書で、"不"はあらゆる助動詞の前に置くことができるが、"没(有)"は、"能"、"能〓"、"要"、"肯"、"敢"などわずかの助動詞に限られると指摘されている。しかし、これらの文法書は、ただこの表面現象を指摘しているだけで、"不"と"没"が助動詞を否定する場合に、どのような要因の制約を受けるのかについては深く追究していない。また、一部の文法書では、助動詞は"了"・"着"・"〓"を伴うことができないので、助動詞は動相(aspect)を表すことができないとしている。本稿は「助動詞+動詞」を一つのまとまった述語構造として捉え、この構造は"了"・"着"・"〓"を伴うことができないが、文脈或いはコンテクストの助けによって、「将然相」の意味を表すことができると指摘する。本稿はさらに"不"と"没"がこの構造を否定する場合の各現象に対して考察し、この二つを制約しているのは、やはり"動相"であることを指摘するものである。「助動詞+動詞」を否定する場合に"不"は動作を行う前の段階、つまり「行動意識」の段階を否定し、"没"は「行動意識」の段階を認めて「動作実行」の段階を否定する。"不"と"没"は文法上、置き換えることができる場合においても、それぞれ否定の範囲と表す意味が違うのである。
著者
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