TACO過剰発現マウスにおけるBCG誘発肝肉芽腫形成
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概要
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TACO(Tryptophane asoartate-containing coat protein)はBCG生菌を貪食したマクロファージの貪食空腹(phagosome)から単離された蛋白で,その膜周囲にとどまり続けてBCGのライソゾーム(lysosome)への移行を妨げ,結核菌の細胎内寄生成立に加担する分子と考えられている.本研究ではTACO過剰発現マウス(TG)を作製し,そのBCG感染時の肝臓における肉芽腫形成およびBCG菌数の推移を野生型マウス(WT)と比較し,TACOの結核菌貪食および殺菌における役割を検討した.TGにおいては感染早期(2週目まで)の肝肉芽腫数がWTに比較して有意に少なく,反対に4週目以後ではより増加した.肉芽腫内の類上皮細胞数はTGで多く,反対にTリンパ球数は少なかった.BCG静注1時間後の肝内のBCG貪食Kupffer細胞数はTGにおいて有意に少なく,BCG菌数も同様に少なかった.TGの腹腔滲出マクロファージはWTに比し有意にBCG貪食能が低く,その後の細胎内殺菌能も低い傾向がみられた.以上の成績からTACOは結核菌の殺菌のみならず,貪食機構にも関与する分子と考えられた.
- 2004-11-10