Brugada症候群における右室流出路伝導遅延と臨床的特徴との関係 : 加算平均心電図と電気生理検査による検討
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概要
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背景:Brugada症候群は,右側胸部誘導(V1-V3)において特徴的なST上昇を呈し,心室細動を特徴とする疾患である.心室細動の原因として右室流出路における心外膜側活動電位のdomeの減少によるphase 2 reentryが考えられているが未知の点が多い.目的:本研究において,我々はBrugada症候群症例の体表面加算平均心電図(SAECG)と電気生理学的検査(EPS)との関係を右室流出路(RVOT)に焦点をあて解析し,臨床的特徴との関係を検討した.方法:対象はBrugada症候群患者24例(男性23名,女性1名;平均61±16歳)である.症例を心停止群(7例),失神群(8例),無症状群(9例)に分け以下の指標を比較検討した.SAECGにおける遅延電位(LP)を既知の方法で検出し,右側胸部誘導(V1もしくはV2)と左側胸部誘導(V5もしくはV6)のfiltered QRS duration(それぞれRfQRSおよびLfQRS)を同様に加算平均から求め,誘導間の差を求めた.24例中18例では,SAECGを3回施行し,LPの再現性を検討した.電気生理学検査ではHV間隔と,RVOT刺激時におけるRVOTとRVA間の伝導時間(CT-OA)を測定し,心室内の伝導を評価した.結果:全例の60回のSAECGで,LPは14例で最低1回は陽性となり,7例で再現性を示した.その7例中5例(83%)は心停止群であった.心停止群のRfQRSとLfQRSとの差(RfQRS-LfQRS)は,失神群や無症状群よりも有意に長かった(29±1Ovs. 14±11(p<0.01)および7±5msec(p<0.001)).HV間隔は3群間で有意差はなかった(心停止群:53±11ms,失神群:52±7ms,無症状群:51±8ms).CT-OAはHV間隔と強い相関を示した(r=0.755,p=0.0003)が,CT-OAとRfQRS,RfQRS-LfQRSとは相間はみられなかった.植え込み型除細動器(ICD)は24例中20例で植え込まれた.平均37±15ヵ月の経過観察期間中に死亡例はなかったが,心停止群の1例で心室細動に対してICD治療が作動し洞調律に復した.結論:体表面加算平均心電図による,右側胸部誘導のQRS幅の延長は,Brugada症候群での不整脈事故の危険と関係があると考えられた.
- 新潟大学の論文
- 2005-05-10
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