2 周産期肺血栓塞栓症(シンポジウム 最近の急性肺(血栓)塞栓症,第602回新潟医学会)
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概要
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近年わが国でも妊産婦に深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症が増加している.妊娠中は血栓症が生じやすく,妊娠そのものがリスク因子であると認識することが重要である.発症頻度は,全分娩に対し0.014%であり,帝王切開分娩は経腔分娩に比べて約7.7倍の発症率である.当科においても帝王切開の頻度が増えており,2003年度には全分娩349件に対し,帝王切開が90件,25.8%と20%を超え,今後益々注意が必要である.従来,院内で策定されたガイドラインに基づき術後肺血栓塞栓症予防策を講じており,リスク因子が産科にあてはまらないものも見られたが,このたび日本血栓止血学会や日本産科婦人科学会などが新たにガイドラインをまとめ,産科独自のリスク分類を発表した.さらにリスク因子も産科特有なものが挙げられ,今後は,産科独自のリスク分類に従い対応することがより合理的であると思われる.肺塞栓は一度発症すると致命的となることが多いことから,分娩・誕生の喜びを提供する両度期領域においては,妊産婦全例を血栓症発症リスクがあるものと認識し,適切な肺塞栓に対する予防対策が十分に取られることが重要である.
- 2005-03-10