1 急死例にみる肺血栓塞栓症の現状(シンポジウム 最近の急性肺(血栓)塞栓症,第602回新潟医学会)
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概要
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院内発症の肺血栓塞栓症(PTE)は法医鑑定実務においても近年注目されている.剖検例の病理形態学的検討の結果,院内発症のPTEは市中発症例と比し,自覚症状が少なく,一回発症型が多いことがわかった.院内発症例は入院後に形成されたDVTが,短期間で塞栓化すると考えられるため,PTE発症予防にはDVT形成予防が最も重要である.致死性のPTE症例では両肢性で下腿静脈限局型のDVTが多い.なかでもヒラメ静脈はDVTの検出頻度・器質化病変の割合が最も高く,致死性PTEを発症しやすいDVTの発生源として重要である.ヒラメ静脈血栓はそのものが致死性塞栓子となることは少ないものの,同部から中枢側に進展した腸骨・大腿部の2次血栓が広範性PTEを引き起こす可能性が高いと考えられる.早期にヒラメ静脈血栓症の治療を行うことで広範性肺血栓塞栓を回避できる可能性があるといえるが,DVT治癒後と考えられる症例においても器質化血栓による静脈弁機能障害がDVT再発の誘引となる可能性が高く,慎重な経過観察が必要である.
- 新潟大学の論文
- 2005-03-10
著者
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