α-synucleinopathy発症に対するsynuclein関連遺伝子の寄与についての検討
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概要
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Parkinson病(PD),Lewy小体型痴呆(DLB)はLewy小体,多系統萎縮症ではGlial cytoplasmic inclusionが診断に欠かせない病理所見である.いずれもα-synuclein(SNCA)が主な構成要素であることから,これらの疾患を"α-synucleinopathy"と総称する.これらα-synucleinopathyに対するsynuclein関連蛋白の関与について遺伝子からの検討を行った.DLB21例(うち,家族性10例)に対して,SNCAとその相同体であるβ-synuclein(SNCB),γ-synuclein(SNCG)の翻訳領域を直接塩基配列決定法で解析した.このうち,SNCBのアミノ酸置換を伴う一塩基置換(V70M)と,SNCGのアミノ酸置換を伴う一塩基置換(E86G)が家族歴を持たないDLBの,それぞれ各1例に認められた.この一塩基置換は正常対照279例,PD患者354例には認められなかった.多系統萎縮症48例においては,SNCA,SNCB,SNCGとSynphilin-1(SNCAIP)遺伝子の一塩基多型(SNP)を調べ,各多型のアレル頻度について疾患対照相関解析を行ったが,有意差は認められなかった.SNCAにおいて解析したSNPs,91.2kbの範囲にわたって,D'(絶対値)>0.7で強い連鎖不平衡を認めた.またSNPsより推定されるhaplotypeは患者・対照群全例が,6つのパターンに集約され,その頻度分布に相違は認めなかった.一方,SNCAIPにおいては,111.6kbの範囲からSNPを選択したが,D'>0.25による評価では,2つの連鎖不平衡領域の存在が示唆され,R2>0.25では,まとまった連鎖不平衡領域が指摘できなかった.同領域から推定されるhaplotypeは10パターン以上に及び,患者群と対照群間でhaplotype分布に有意差を認めた.PDのみならず,他のα-synucleinopathyの発症に対し,SNCB,SNCG,SNCAIPという関連蛋白の遺伝子が関与している可能性を示した.
- 新潟大学の論文
- 2005-01-10