家庭科男女共学履修によるジェンダー観・家庭科観の変化
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概要
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家庭科男女共学履修がジェンダー観,家庭科観にどのような影響をもたらしたかを明らかにするため,本研究を行った。研究にあたっては,まず,1 家庭科とジェンダー観のかかわりに関する先行研究にあたり,ついで,2 家庭科男女共学履修制度導入による家庭科カリキュラムの変化について学習指導要領の目標,内容の変化及び教科書の人物画像をジェンダー視点から分析した。そのうえで,大学生を対象に,家庭科男女共学履修によるジェンダー観,家庭科観の変化についての調査を実施した。結果の概要は次の通りである。1 家庭科とジェンダー観に関する先行研究では,「女子必修の家庭科はジェンダーに基づく偏向を伴った教科であった」,「家庭科は,ジェンダーにかかわるテーマを学習題材としており,性平等意識を育てる教科としての特性を持つ」の2点が指摘されている。2 男女共学履修制導入により学習指導要領の目標には,「主体的」「家族」という語が新たに取り入れられ,内容には,高齢者の生活と福祉,消費生活と消費者としての自覚,生活情報の活用,青年期の生き方と結婚,生命の誕生,子どもの人間形成と親の役割が新たに取り入れられた。3 男女共学履修制導入により発行された教科書の人物画像をみると,男性画像,平等場面が増加し,伝統的場面が減少しており,平等意識を育てる役割の一端を担っていると考えられる。4 家庭科男女共学履修によるジェンダー観,家庭科観の変化についての調査結果の概要は次の通りである。(1) ジェンダー観水準は,女子の方が男子に比べて高水準で,家庭科の学習内容の重視度も高い。(2) 男子の共学履修グループは,履修なしグループよりもジェンダー観は高水準で,学習効果の認識は高く,新設項目についての評価が高い。(3) 女子の別学履修グループは,共学履修グループよりも,ジェンダー観は高水準であるが,学習効果の認識度は低い。(4) ジェンダー観水準が高いグループは,男女とも学習効果の認識は高く,新設項目をより重視している。男子の場合,育成する能力の重視度は高く,女子の場合,学習希望は高く,新設項目を重視している。
- 千葉大学の論文
- 2000-02-29