過疎地における高齢者福祉情報システムに関する研究
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概要
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2003年版高齢社会白書によると,我が国の高齢者人口は2,363万人で総人口の18.5%を占め,我が国はすでに高齢社会である.高齢社会への推移をみると,1970年に高齢化社会を迎え,1990年代前半には高齢社会となった.これは,欧米諸国が100年程で到達したのに対し,我が国は25年程度と極めて短い期間に高齢化が進行したといえる.今後もこの比率は上昇するといわれており,2025年には27.4%,2050年では実に32.3%となり,約3人に1人が高齢者ということになる.とりわけ,過疎地域における高齢社会の問題は緊急を要する課題である.本研究の主対象である過疎地においては,高齢化率がすでに40%を大きく超える地域もある.また,昨今の行政改革論議の中で,財政改革や市町村の広域合併が促進されようとしている.高齢者福祉に配分される金銭および人的資源には限界がある.また,広域合併が進めば,行政の中心は合併した地域の中心に移転するため,多くの住民は現在よりも長い時間をかけて出かけなければならない.高齢者がサービスを受けるためには,交通の負効用はさらに大きくなる.一方,サービスを供給する側も,限定された資源で広範囲に点在する多数の高齢者をケアしなければならない.高齢者福祉のサービスレベルは低下することが推測される.本研究は,広島県の山間地に位置する過疎地域を主対象として高齢者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上を目指してIT技術を活用した福祉政策の実効性を明らかにし,その効果を計測する方法論について考察することを目的としている.
- 広島文化学園大学の論文
- 2004-12-24