幻想文学論序説 : 現実と幻想との境界について
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概要
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近年幻想文学への関心はとみに高まり、読者数や翻訳点数、また日本作家による創作の数は飛躍的に仲びてきているが、こと研究となると、ジャンル論の基礎となるべき構成要素の分別すら、いまだ十分には行われていないのが現状である。本論文では、このジャンルヘの構造主義的アプローチの中では最も高く評価されているものの一つ、ツヴェタン・トドロフの『幻想文学-構造と機能』における幻想の定義に基づき、現実とこれに隣接するいわゆる超自然の領域の関係を明確にし、理念モデルを構築して,ゆく。トドロフは幻想を、読者が超自然的様相をもった作中の事件に直面して感ずるためらいと定義し、このためらいは一時的にしか持続せず、読者の判断によって関連する4ジャンルヘと、最終的に分類されるものとする。しかしトドロフの定義は、重要なポイントを突いてはいるものの、現実や超自然について読者が抱く観念が、時代や文化によって変化するものであることを見落としているために、曖昧な部分を多く残している。この論文では、トドロフの問題を整理しながら、彼が提示したモデルを改良し、ある種の幻想文学を分析する上では、より有効な新しいモデルを構築する。なお、小論はかつて「幻想文学論序説-現実と幻想との境界について」と題して、『比較文学・文化論集』1995年11月号に発表された拙論を、英訳したものである。
- 2005-07-31
著者
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