新生児呼吸器疾患における気道吸引液リン脂質の生後変化
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概要
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新生児呼吸窮迫症候群(以下RDSと略す)児7例及び長期人工換気療法を要した6例について,生後の気道吸引液におけるリン脂質の変動を検討し次の結果が得られた。 RDS児におりる気道吸引液のリン脂質 1. Lecithin/Sphingomyelin (以下L/Sと略す)ratioは生後2日目まで低値であった。2. Phosphatidylcholine (以下PCと略す)におけるパルミチン酸の比率は生後2日目まで低く, 3日目以降は50%以上で安定した。またパルミトレイン酸も同様の傾向であった。3. Phosphatidylglycerol (以下PGと略す)は生後3ないし4日目に検出可能となった。 長期人工換気療法例における気道吸引液のリン脂質 1. PCにおけるパルミチン酸は経過中大きな変動を示し,特に必須脂肪酸欠乏状態で低値であった。2. PGは5例においてpostconceptional age 32〜35週以後恒常的に検出された。以上より気道吸引液のリン脂質は肺サーファクタントの生成分泌状態を良く反映するものと考えられ,長期に人工換気を要する児ではそれが不安定であることが示唆された。
- 神戸大学の論文