新生児寒冷障害症(Neonatal cold injury;NCI)の臨床、病態に関する研究
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概要
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過去5年間に経験した新生児寒冷傷害症NCI17例について,尿中カテコールアミンの動態,褐色脂肪織を中心に臨床病理学的な面より考察を行なった。1) 17例全例に急速加温法を行なった。けいれん,無呼吸などの誘発例は17例中8例みられ,感染症併発例に多かった。2) NCIにおいてノルアドレナリンの分泌は,急性期に亢進し,回復期に漸減した。しかし出生直後の成熟児低体温例ではノルアドレナリン分泌は正常域であった。3) NCI剖検例の病理学的所見は,肺出血,腎皮質壊死,乏血腎,肝うつ血,皮下硬性浮腫などでいずれも微小循環障害の結果と考えられた。4) NCIの褐色脂肪織は対照児と比較して,その分布異常はなく,脂肪織の著減はないが褐色脂肪織内の毛細血管のうっ滞,小出血など循環障害が認められた。以上の結果からNCIの病態はノルアドレナリンは充分分泌されているが,微小循環障害のため,褐色脂肪織に充分伝達されず化学的熱産生が低下して低体温に陥ったと考えられる。