トランスファーRNAメチル化酵素の分子進化
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概要
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2004年10月現在までに、さまざまなRNA分子種から102種類におよぶ修飾ヌクレオシドが発見されている。既知の修飾ヌクレオシドはすべて、転写後修飾により生合成されるが、そのうち70%以上にメチル基転移反応が関与するものと推定される。RNA修飾ヌクレオシド生合成に関わるメチル化酵素は、その遺伝子が未発見なものも多い。しかしながら、それでも3000以上もの遺伝子がRNAメチル化酵素(候補)遺伝子としてデータバンクに登録されている。これほど多様に細分化されたRNAメチル化酵素群を包括的にとらえ、その概念を統一することは可能であろうか?また、その分子進化を追跡できないであろうか?このような観点から、我々はtRNAメチル化酵素をモデルとして構造・機能解析を進めてきた。RNA修飾ヌクレオシドはtRNA中にもっとも多く、タンパク質合成系を円滑かつ正確に動作させるために必須の因子である。ゆえに、tRNA修飾は、タンパク質合成系とならんで、もっとも起源の古い生命現象のひとつだと考えられている。よって、tRNAメチル化酵素の解析は、RNA修飾系のもっとも基本的な形態を解明することにつながるであろう。本橋では、tRNAメチル化酵素の分子進化について最新の知見を加えて、解説する。
- 愛媛大学の論文
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