某電子工業上部消化管管理検診の経済評価 : 特に消化性潰瘍経過観察における費用便益分析
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概要
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上部消化管良性疾患のうち消化性潰瘍の管理検診について民間病院と健康管理室各々で, 検査を行った場合の直接費用, 間接費用に関して企業, 健康保険組合, 労働者各々の立場から費用便益分析を行った. 対象は, 1994年時点での在籍者(男1,515例,女261例)のうち, 管理検診受診歴のある社員で, 胃潰瘍202例(男194例,女8例), 十二指腸潰瘍199例(男195例,女4例)であった. 対象者について, 潰瘍の経過分析を行い, 代替案である民間病院での経過観察時の成績と比較検討した. その結果胃潰瘍, 十二指腸潰瘍いずれの症例についても入院・緊急手術症例が管理検診群で, 代替案より有意に少なかった. このことが, 企業, 健保組合, 労働者の各々の立場に次のような便益をもたらした. すなわち入院・手術による労働損失の防止,入院・手術の医療費損失軽減, 入院医療費(自己負担分)損失阻止および入院による収入減阻止効果(実際には, 多くの労働者が入院日数程度の有給休暇を持っているので, 有給休暇温存効果). さらに,通院時間を含めた総検査時間についても, 代替案での検査実施に比し大幅な短縮効果が認められ, 企業および労働者にとっての便益と考えられた. 企業においては管理検診により有病例の胃集検受診回避による費用軽減効果もあるため, 合計では, 3者全体で1年につき少なくとも4,000万円以上の費用便益効果が認められた. 管理検診とその費用便益分析は糖尿病, 高脂血症等他の生活習慣病の健康管理の評価に関しても応用可能と考えられ, 健康管理の重要性を企業および労働者に示すためにも重要な手法である.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1999-01-20
著者
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