1型糖尿病発症阻止に関する研究 : NODマウス膵ラ島炎に対する免疫抑制療法
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概要
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最近,ヒト1型糖尿病の発症に,抗ラ島細胞抗体(ICA),抗ラ島細胞膜抗体(ICSA)の存在及び細胞性免疫の異常など,種々の免疫機構の異常の関与が報告きれている。今回,ヒト1型糖尿病をICSAに対するanti-idiotypic antibodyにより抑制する目的で,既に確立された単クローン性ICSAである3A4を家兎に免疫し,抗3A4血清を作製した。抗3A4血清は<125>^I-3A4の培養インスリノーマ細胞(In-111)への結合を抑制したので,3A4に対するanti-idiotypic antibodyを含んでいると恩われた。そこで,ヒト1型糖尿病の動物モデルを考えられるNODマウスに対し,抗3A4血清,抗マウスTリンバ球血清(ATS),N-(2-carboxyphenyl)-4-chloroanthranilic acid disodium salt(CCA ; 主としてサプレッサーT細胞に影響を与える免疫調整剤)の投与を読み,膵ラ島炎に対する効果を形態学的に判定したところ,抗3A4血清及びATSに発症頻度並びに重症度の点で,NODマウス膵ラ島炎に対する抑制効果を認めた。しかし,<125>^I-Protein A radioligand assayで測定した各NODマウス血清のICSA活性の推移から,抗3A4血清とATSでは,膵ラ島炎抑制の機序が相違している可能性が示唆された。以上の結果から,単クローン性ICSAである3A4及びそのanti-idiotypic antibodyである抗3A4血清は,ヒト1型糖尿病の研究に有用な手段となり得ると思われた。
- 神戸大学の論文
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