組織風土の変革に関する実証的研究 : 組織開発の実践的論拠を求めて
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概要
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本研究の目的は組織風土の変革について心理学的見地より実験的な調査を行ない,組織開発の実践に具体的かつ実証的な論拠を得ようとすることである。それに伴う問題は二つある。第一は組織風土の把握に関する問題であり,他はリアルな組織開発の実践面をいかなる形で実験的に計画するかという問題である。前者は心理学の認知論的アプローチの立場から組織風土を操作的に把握することにし,後者は今日,組織開発の実践特に組織風土の変革において最も有効な方法だと考えられている職場ぐるみ訓練(ファミリートレーニング)が実施された。具体的な方法としては,内容とすすめ方を一定に統制した職場ぐるみ訓練を大阪にある金融機関N社のA支店とB支店に実施し,各支店の組織風土が訓練の直前と終了直後に本研究用に作成された調査用紙で測定された。結果と考察は次のように要約される。組織風土の変革の状態を把握するためには,どのような風土が新しく形成されたのかという形成面と,どのように良くなったのかという改善面の両方の次元から統合的に見ていかねばならない。その形成面は訓練の実施前と実施後の分散の変化でその状態が把握でき,改善面は同様に平均値の変化で把握できるであろう。そういう観点から職場ぐるみ訓練の一般的な効果を抽出するために,A,B両支店に共通して有意な変化を示したものをそれぞれあげれば下記の通りである。形成面では「危険負担」の指標が強く形成され,改善面では「葛藤の処理」「目標水準」「グループへの一体感」の指標が著しく改善されるといえる。そして,A,B両支店に共通して形成面も改善面もともに有意に変化しているものは「方法を考えるとき新しいアイデアを出しあおうとする」という測定項目であった。この項目は危険負担の指標に入るものであるが,一般的にいって職場ぐるみ訓練を実施すれば,この項目を頂点としかつ以上にあげた各指標がそれに関連するというひとつの体系的な組織風土の姿が職場には新しくできるがると考えられるのである。これが本研究の目的とするもの,即ち組織開発の実践における具体的かつ実証的な論拠となるものである。
- 桃山学院大学の論文
- 1975-03-01
桃山学院大学 | 論文
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