車いす介助に関する生理心理学的研究(第2報)

概要

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本報では,介助の実際を市街地において行った時の介助者-障害者間の生理心理的負担について検討し,前報に引き続き安全で心地よい車いす介助のあり方を検討することを目的とする。協力者は,前報同様,障害者4名,健常者10名である。前報で示した形状の異なる車いすA,Bを用いた健常者同士(介助者及び介助協力者)の介助と実際の障害者における介助で,大阪府立大学キャンパスの外周およそ3.5 km を車いすで押してもらった。介助者,介助協力者及び障害者には,携帯用心拍記録装置を装着させ,介助中の心拍数を記録した。また,介助前後には,STAI テストを測定した。介助者の平均心拍数は,いずれの介助協力者の場合でも,車椅子Aに比べて車椅子Bの方が,高い値を示した。また介助時の心拍数,及び介助時間は,車椅子の形状及び介助協力者によって,異なる結果を示した。介助前後の状態不安は,介助前に比べて介助後の方が低かった。介助協力者の心拍数は,車椅子A,B共に,いずれの協力者においても,介助中の心拍の変動幅は少なく示された。しかし,協力者によっては,心拍数平均値からみて車椅子AよりBの方が低値を示した者や,逆に高値を示す者がおり,車椅子の機能や形状によって,介助協力者の生理反応も異なることが示された。各介助協力者の状態不安は,車椅子A,B共に介助協力者間で異なる傾向を示した。障害者を対象とした車椅子介助時における平均心拍数は,介助経験者に比べ未経験者の方が有意(p_0.05) に高かった。また,障害者の平均心拍数についても,未経験者介助時の方が有意(p_0.05) に高かった。障害者を介助した時の介助者の状態不安は,介助経験者および未経験者共にいずれも介助前に比べ介助後に減少し,介助経験による差は認められなかった。障害者の状態不安は,介助未経験者による介助では介助後に増加し,介助経験者では,減少した。以上のことから,身体障害者に対する介助経験の差が,介助者と身体障害者のいずれにも生理心理的影響を及ぼすことが明らかとなった。今後の課題として,車椅子を押す簡単と思われる介助についても,介助を受ける身体障害者の立場に立った視点での介助経験者の育成が急務と考えられる。
桃山学院大学の論文
2007-12-18

車いす介助に関する生理心理学的研究(第2報)

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