六義園の成立に関する史的考察 : その1:吉保退隠までの時代
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概要
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元禄時代の繁栄の中で,稀有な出世を果した柳沢吉保の別墅六義園の造営とその背景を資料に基づいて考察した.御成御殿の殿舎構成をもった六義館の御座敷前に広がる景には,和歌の世界の展開,夫婦愛・繁栄の礼譛とその永劫への願い,古典尊重の三つのテーマを見てとることができる.これらは学問を強く奨励した将軍綱吉やその母桂昌院の意向に沿うものであり,綱吉や桂昌院に対する吉保の配慮を窺うことができる.また,六義園はこれまで池泉廻遊式庭園とされてきたが,この園の中心となる景が六義館の御座敷前に展開する構成から判断すると,むしろ書院庭園とみることができるであろう.
- 1986-10-30