情緒不安定性人格障害に対するバルプロ酸の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
情緒不安定性人格障害に対するバルプロ酸の効果を検討する目的で研究を行った。攻撃性はOvert Aggression Scale(OAS)およびPositive and Negative Syndrome Scale(PANSS)の攻撃危険性プロフィールで,衝動性は自傷行為の頻度および過食や嘔吐の頻度で,社会適応状態はGlobal Assessment of Functioning(GAF)で評価した。その際,ベースラインはバルプロ酸投与前4週間以内の記録すべてを総合し,比較する時点としてはバルプロ酸投与後4週以内,4週を越え8週以内の2ポイントとした。その結果,OASにおいて他害を除く言語的攻撃性,器物損壊,自傷の各項目がバルプロ酸投与前より投与後に有意に改善していたこと,PANSSの攻撃危険性プロフィールでも,怒り,充足延期の困難性,情動不安定,興奮,敵意,抑うつのすべての項目でバルプロ酸投与前より投与後に有意に改善が認められたこと,GAFでも同様の改善が認められたことから,攻撃性および社会適応状態に対するバルプロ酸の効果が示唆される。
- 北里大学の論文
- 2001-10-31