暮らしのなかへ"健康意識を"
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概要
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高度に科学技術化した複雑な社会構造のなかで、家庭は核家族化し、出産率は低下して、人口は著しく老齢化が進んでいる。生き甲斐をもち、しかも楽しく老後を生活するためには、まず各人が若いうちから自分の健康は自分で護るという自覚をもつことが大切である。特殊な病気は別として、わが国での死因となる病気の第一位は「がん」で、第二位は心臓血管系の病気である。これらの多くは各個人の生活環境からうける影響の集積であることが解明されている。それを予防するには乳幼児期から生活習慣、とくに正しい食習慣の原形を身につけさせることが大切で、成長して自律意識がでてからは健康に適した、理にあった食生活をはじめいろいろな生活習慣を育成し、身につけさせる指導が必要である。例えば学校給食制度など絶好の機会となしうるであろう。要するに、日常生活のなかで、各個人が知的には健康の自己管理の必要性を意識しながらそれを実行し、すでに習慣化された、どちらかと言えば、本能的なあるいは情動的な生活態度が無意識のうちに健康を護ってくれる。これが当人のためにも、家族のためにも、そして社会のためにも、もっとも望ましい状態なのである。この人間教育の学理的基盤となる学問が"医学"であると申せましょう。
- 1991-12-15