生命保険を巡る法と裁判の動向
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概要
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保険は学際的分野であり,医学と法律学がその中心的役割を担う。専門家である医師や法律家はその専門領域の経験をいかに社会正義に役立てるかが問われている。保険の本質は偶然に発生した損害を補償するものであり,人為的に招致された結果に対しては保険金を払うべきではない。保険契約は契約両当事者間の相互の信頼を不可欠な基盤とし成り立っている。これは保険法においては信義誠実の原則として重視されている。被保険者が背信行為をした結果,全面的に被保険者の誠実性に頼らざるを得ない保険者に契約の継続を要求することが無理と判定されたときは,保険者に,重大事由に基づく契約の特別解除権を認めている。本稿では,これらを争点とする2つの事案,つまり自殺か他殺を巡る事例と多額の保険金をめぐる詐欺事例を取り上げる。
- 2003-03-17