Epstein-Barr virus陽性胃癌の臨床病理学的検討
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概要
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北里大学関連施設の多数の胃癌症例を用いて,Epstein-Barr virus(EBV)陽性胃癌におけるEBVの胃痛発癌過程の解析を行った。まず,臨床病理学的に検討した。検索した513例の胃痛中で33例にEBVが検出された(6.4%)。男女比,年齢,組織型,癌の局在,深達度,脈管浸潤,浸潤形式についての検討では,癌の深達度とその浸潤形式に,EBV陽性例と陰性例との間に統計学的有意差がみられた。すなわち,EBV陽性胃癌では,sm癌に多くみられ,より硬性癌の浸潤形態を示した。組織型では,低分化型と中分化型が多く,高分化型は少なかったが,有意差は見い出せなかった。その他の因子については,殆ど差はみられなかった。EBNA-2,LMP-1などのEBV関連腫瘍蛋白の発現は,殆どなく,EBV受容体であるCD21の発現もなかった。以上の結果から,EBV陽性胃癌のEBVの発現型は,EBVによる発癌様式のどれにも当てはまらず,胃癌の発癌過程でのEBVの役割は他の悪性腫瘍と若干異なることが推定される。
- 北里大学の論文
- 1997-06-30