T細胞クローニングによるD-ペニシラミン作用動態の研究
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概要
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D-ペニシラミン(D-PC)の慢性関節リウマチ(RA)における作用機序を検討するため,T細胞のクローナルな増殖に対する影響について解析した。D-PCは銅イオンの存在下で,T細胞の増殖を抑制した。この増殖抑制作用には過酸化水素の産生が関与していると考えられた。また,D-PCはCD4およびCD8陽性細胞の増殖を同等に抑制した。T細胞の増殖抑制に必要なD-PC濃度は通常の投与量で達成可能な血中濃度よりも高く,抗リウマチ効果発現には全身作用以外のメカニズムも関与している可能性がある。D-PC処理後にも増殖してくるD-PC抵抗性T細胞の比率には個人差があった。D-PCが有効であったRA患者では,半数以上でD-PC抵抗性T細胞の比率が低かったが,D-PCが無効あるいは一次有効であってもその後再燃を認めたRA患者では約80%に高い比率が認められた。これらの結果はD-PC抵抗性T細胞の比率がその有効性や再燃を予測する指標となりうることを示している。
- 1995-04-30