ブラウン管(CRT)急性暴露によるラット脳内モノアミン濃度,行動への影響
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概要
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VDT(visual display terminals)作業従事者の臨床的問題などを明らかにするために,ブラウン管(CRT)を暗期(午後10時)にopen field内で行動するラットを10分間暴露させ,脳内のセロトニン系モノアミン濃度,および行動の変化を検討した。serotonin(5-HT),5-hydroxyindole acetic acid (5-HIAA),tryptophanは高速液体クロマトグラフィーにて測定した。測定部位は,大脳皮質,小脳,海馬,線条体,橋(延髄を含む),中脳,視床,視床下部,松果体であった。全体的にCRT暴露群は,対照群に比べると5-HTが増加傾向にあった。有意差が認められたのは,海馬,橋,視床下部,松果体で,対照群に比べて,それぞれ平均36.5%,18.9%,59.7%,96.2%の増加を示した。5-HIAAは,松果体でのみ有意に増加していた。tryptophanに関しては,有意差が認められた部位はなかった。行動は,locomotor activityとして測定10分間の移所運動距離,平均速度を比較したが,対照群とCRT暴露群との間に有意差は認められなかった。CRT画面からは,低周波数領域を中心とする電磁波が発生しており,モノアミンの変化の原因の一つとしてこれら電磁波の影響が考えられた。
- 1993-10-31