各種処理同種骨と合成ハイドロキシアパタイトの吸収置換に関する実験的研究
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概要
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本実験は, 骨置換材料の骨伝導能および骨誘導能を定量的に比較検討するために行われた。使用した骨置換材料は単純冷凍同種骨,脱灰同種骨,凍結乾燥同種骨,多孔性ハイドロキシアパタイト(HA)であり,対照群として新鮮自家骨,新鮮同種骨を使用した。移植後,打ち抜き剪断試験および組織形態計測(HIR:新生骨梁面積/壊死骨梁面積を求めた)を行い,移植材料と母床との固着の程度および材料全体の吸収置換の程度を経時的に比較検討した。剪断応力はHA群,自家骨群,同種骨群の順に増加し,8週経過時には全群に骨折を起こし測定不能となった。HIRは,早期にはHA群が高値を示したが,経時的な増加はほとんど認められなかった。HIRの経時的な増加は新鮮自家骨群,処理同種骨群,新鮮同種骨群の順に認められ,最終的には,HA群のHIRは処理同種骨群と新鮮同種骨群の間に位置した。3種の処理同種骨群間に差は認められなかった。以上の結果より,HAは骨伝導により早期に母床と結合するが,吸収置換は新鮮自家骨および処理同種骨に劣る。また骨誘導能は,新鮮自家骨,処理同種骨,新鮮同種骨の順に高いことが明らかになった。
- 1992-02-29