立位姿勢における矢状面随意運動の調節(3部 運動の解析)
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概要
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ヒトの立位姿勢の調節系における体重心位および床反力作用点と下肢筋筋電図の関係を,1)身体を足関節まわり前後方向にゆっくりと動かした場合2)音信号に反応して速く動かした場合について調べた.実験結果を台付き単一倒立振子モデルを用いて解析した.さらに足底からの感覚入力の姿勢調節系への関与の程度を知るため,足関節上部こ駆血帯を巻き虚血性神経ブロックを行なった.なお本論文では運動に伴う上半身の影響を減ずるため被験者に前屈位をとらせた.一定の姿勢(後傾位と前傾位の間で)を保持させた場合またはゆっくりと身体を足関節まわりに動かした場合,下肢筋筋群筋活動と体重心位のリサージュと床反力作用点とのリサージュはほぼ同一のパターンを示した.前傾するに従い下腿三頭筋の活動量はほぼ直線的に増大するが,後傾位ではほとんど筋活動はみられなかった.前脛骨筋は逆に後傾位になるに従って活動量が増大し前傾位ではほとんど筋活動はみられなかった.身体の速い運動では運動開始時の体重心位に従って前脛骨筋(TA)と下腿三頭筋(GC)の活動に合目的的な筋活動の切り替えがみられる.これによって前方または後方へのモーメソトが有効に作り出され,運動が遂行されることが示された.中立位(TAに活動がみられずGCに軽度の活動がみられる姿勢)から最大前傾位まで身体を動かした時,三相性の筋活動-GCの休止,TAの発火,GCの再発火-がみられた.後傾位から中立位まででは二相性の筋活動-TAの発火増大,GCの発火-がみられた.速い運動時にみられる床反力作用点軌跡の逆応答は,この下肢筋筋群の筋活動によって作り出される足関節まわりのトルクを反映していることが,モデルの解析から明らかとなった.この現象は前脛骨筋,下腿三頭筋の単収縮時にみられる体重心位と床反力作用点の関係から確かめられた.駆血後30〜40分目で拇趾球部の表面感覚は30%以下に低下した.身体の前後方向の可動域は開眼・閉眼でともに駆血前の約70%に減少し,中立位から前傾位までの速い身体運動では前傾位でとまることができず被験者は転倒した.足底からの感覚入力は下肢筋筋群の活動量および運動遂行のための筋電パターンに重要な働きをしていることが示された.
- 1984-04-25
著者
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渡辺 悟
岐阜大学
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渡辺 悟
岐阜大学反射研生理
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三宅 彰英
岐阜大学反射研生理
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林 良一
岐阜大学反射研生理
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梅本 和美
岐阜大学
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林 良一
岐阜大学:愛知医科大学生理学第一講座
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三宅 彰英
岐阜大学
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