同種骨移植の実験的研究 : 移植骨の経時的力学的特性変化および組織学的研究
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概要
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同種保存骨移植を考える際に,その処理骨の抗原性,骨誘導能とともに,問題となるのは移植骨の力学的特性である。本実験は,種々の処理骨の移植を行い,どの処理骨が生体の力学的生理的条件に合った適度の剛性と強度を有するか,またその物性の経時的変化を定量的に測定しようと試みた。実験は,主要組織適合抗原の異なった2種の近交系ラットを使用し,recipientの大腿骨骨幹部に作成した骨欠損部に,種々の骨移植を行った。移植骨は,新鮮自家骨,新鮮同種骨,冷凍同種骨,凍結乾燥同種骨,脱灰同種骨の5種である。これら移植骨につき,移植前および,移植後4〜24週において,粘弾性および圧縮強度試験を行った。また組織学的には,脱灰標本を作成し,画像解析を行い新生骨/移植骨(壊死骨)の面積比を求めた。以上の結果より動的粘弾性試験において,絶対弾性率では,新鮮自家骨,脱灰骨の2種で同じ様な傾向を認め,新鮮同種骨,冷凍骨,凍結乾燥骨の3種で同じ様な傾向を認める。粘弾性体としての物性は4〜12週において強く認められる。圧縮強度では,移植前より8週の間では,各処埋骨に特徴的な値が得られたが,8週以後は,各移植骨群間に有意差は認めない傾向にある。面積比の経時的変化では,新鮮自家骨が有意にすぐれ新鮮同種骨で有意に劣っている。すなわち,移植後8週までは,骨吸収が進むが,新生骨形成は少なく,力学的にも,各移植骨の特徴が現れる。12〜16週にて骨形成が進み,力学的にも弾性的性質が前面に現れて,面積比においても16週を境に新鮮同種骨を除き,新生骨が移植骨(壊死骨)を上まわる様になる。
- 北里大学の論文
- 1988-08-31
著者
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