肺線維症の臨床病理学的研究
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概要
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肺線維症(び漫性間質性肺炎)の所見を有する剖検例45例について,臨床所見,病理所見を比較検討した。咳は98%,疾は82%の例にあった。肺腺維症の期間が4か月末満の例では,胸部X線でスリ硝子状・小粒状影を呈し,病理肉眼所見では全肺にび慢性の小さな気腔を認め,組織学的には,硝子膜を伴い,肺胞腔内にはマクロプァージを認め,肺胞道・肺胞嚢・呼吸細気管支の中等度の拡張の所見を示した。4か月以上の例では,胸部X線で多発輪状影の所見,病理所見では蜂窩肺の所見を示す例が多かったが,肺の一部には小さな気腔や硝子膜があり,急性の所見の合併例もあった。扁平上皮化生は39例(87%)に,腺腫様増生は7例にあった。また,肺胞上皮の腫大・異型化・増生は放射線照射や抗癌剤使用例で多く認められた。間質の線維化のみでなく,肺胞腔内の線維化巣は24例(53%)にあり,そのうち5例は気管支肺炎の合併がなかった。
- 北里大学の論文
- 1988-02-29