Transaminase活性値の法医化学的意義について
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概要
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Transaminaseの法医化学診断的意義を究明する目的で,死体血における溶血の影響,臓器からのTransaminase遊出の実態などを死因および死後経過時間別に実験的に検討した。1)溶血の影響を検討した結果,死体血血清Transaminase活性値は高度の溶血でも影響は少なく,補正の必要性は認められなかった。2)死因究明時において,死後経過時間別の検討を不可欠な条件として,血清GOTは死後早期に,臓器GOT(特に心筋GOT)は比較的死後長期までも診断的価値が認められた。3)血清・臓器GPTの変動は,死因との関連性が低く,診断的価値は乏しいものと考えられた。4)血清Transaminase活性値は,死後経過時間推定の指標とはなり得ないものと考えられた。以上から心筋GOTを死後経過時間別に検討することによって,原因不明の内因性急死の死因究明の一助に充分役立つものと思考された。
- 北里大学の論文
- 1979-12-31