Duchenne型進行性筋ジストロフィー症の病理学的研究 : とくに心肺病変の意義について
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概要
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Duchenne型進行性筋ジストロフィー症(DMD)剖検例35例につき,心肺病変が招来するDMDの病態と死因との関連を明確に把握することを目的とし,心および肺を中心に総合的に検索し,さらに臨床病態に基づき,DMDをうっ血性心不全(CHF)群と呼吸不全(RF)群に二大別して比較検討した。本研究では,心筋の変性・萎縮等の変化は,大量のCa^<2+>流入により惹起されることが電顕所見により推定されたが,これら一連の変化は従来の骨格筋病変と同質で,CHF群,RF群問にも質的差異は認められなかった。しかしCHF群は,より若年で死亡,心重量の増加を示すのに対し,RF群では,骨格筋の萎縮がより高度で,心重量も減少をみた。さらに両群間とも肺動脈中膜肥厚がみられたが,CHF群では心病変に起因するhypoxia,RF群では,呼吸筋病変に起因するhypoxiaがその成因の主体と考えられ,両群間の病態像の相異が病理学的に確認され,本疾患の今後の社会医学上の対応に,基礎的根拠を提供し得た。
- 北里大学の論文
- 1984-08-31
著者
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